お役立ちコラム
本船動静をリアルタイムで追跡する方法は?船舶輸送を可視化するメリットを解説
国際物流に携わる企業にとって、貨物船の位置や到着予定を正確に把握することは大きな課題です。 出荷から納品までの流れを円滑に進めるためには、サプライチェーン全体の可視化と効率的なリスク管理が欠かせません。近年はデジタル技術の発展により、船舶の動静をリアルタイムで追跡する手段が拡大しています。 本記事では、リアルタイム追跡が求められる背景や確認方法、GPSトラッカーを導入する際のポイントまで詳しく解説します。
貨物船のリアルタイム追跡が重要な理由
グローバル物流では、輸送中の貨物の動きを正確に把握することが顧客対応やリスク管理に直結します。船舶の位置や到着予定を確認することで、通関や配送の計画を立てやすくなり、突発的な遅延にも柔軟に対応できます。
- 船舶の到着予定を把握することで物流管理の効率が高まる
- 予期せぬトラブルにも迅速に対応でき、リスクを最小化できる
- サプライチェーン全体を最適化し、競争力を強化できる
これらのポイントを押さえることで、企業は安定した物流体制を築くだけでなく、顧客満足度や取引先との信頼関係を高めることができます。次に、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
正確な到着予定を把握することで効率的に物流管理ができる
貨物船の現在位置や到着予定を事前に把握しておけば、港での通関準備や倉庫での荷受け体制を効率的に整えられます。配送業者への依頼や輸送スケジュールも調整しやすくなり、無駄な待機時間やコストを削減することが可能です。
位置情報を把握できれば、顧客からの問い合わせにも即答でき、納期管理の精度が高まるため取引先からの信頼獲得にもつながります。仮に遅延が発生しても早急に情報を得られることで、スケジュールを組み直し、影響を最小限に抑える対応が可能になります。
迅速なトラブル対応・適切なリスクマネジメントに繋がる
港湾の混雑や台風などの天候不順、さらには海上事故による遅延は、輸送スケジュールに大きな影響を及ぼします。リアルタイムで船舶の動静を確認できれば、異常を早期に察知し、代替手段の確保や取引先への連絡など迅速な対応が可能になります。複数の航路や便を比較して最適な選択を行えば、リスクを事前に分散することも可能でしょう。
また、異常航行を早期に把握することで、貨物や顧客への被害拡大を未然に防止でき、安定した取引基盤の構築につながります。
サプライチェーンの最適化で競争力を高められる
船舶の運行情報を活用すると、到着予定に基づいた在庫調整や発注計画の改善が可能となります。輸送の透明性が高まることで、社内の物流部門と営業部門、フォワーダー、顧客とステークホルダーとの連携も円滑になります。
結果として、全体的な納期短縮やコスト削減を実現でき、取引全体の効率化を推進できます。情報をタイムリーに共有できる体制を整えることで、取引先との関係性も強化され、結果的に競争力のあるサプライチェーンの構築につながるのです。
船舶の位置データをリアルタイムで取得する方法
船舶の動きを確認する際には、コンテナ番号や船名、B/L番号などが有効な手掛かりとなります。ここからは、船舶の位置データを取得する方法を具体的にみていきましょう。
ただし、GPSで測定した位置情報を送信するには通信環境が必要であり、海上ではデータが即時反映されない場合があります。港に到着して通信が回復した時点で、情報がまとめて更新されるケースがある点には注意が必要です。
船舶会社の公式サイトで確認する
主要な船会社である「Maersk」「ONE」「MSC」などの公式サイトでは、ブッキング番号やB/L番号、コンテナ番号を入力して現在のスケジュールや運航状況を確認できます。公式情報のため信頼性は高い一方、更新には一定のタイムラグが生じる場合があります。
納期が重要な案件では、最新のETA(到着予定時刻)・ETD(出発予定時刻)を確実に把握するためにフォワーダーへの直接確認や専門サービスを併用すると安心です。各社は公開の追跡ページを提供しており、ログイン不要で利用できます。
| 船会社 | サービス名 | 特徴 |
|---|---|---|
| Maersk | Track shipments | ・高い正確性 ・ETA/ETD確認可能 |
| ONE(Ocean Network Express) | Cargo Tracking | ・更新頻度は高いがラグもあり得る |
| MSC(Mediterranean Shipping Company) | Track a Shipment | ・世界的に広く利用される公式情報源 |
船舶位置情報を取得できるWebサイト・サービスを活用する
「MarineTraffic」や「VesselFinder」「ShipTracking」といった専門サービスでは、世界中の商業船舶の現在地を地図上に表示できます。検索には船名やIMO番号、MMSIなど複数の識別情報が利用でき、確実な特定には固有のIMO番号が有効です。無料版でも基本的な位置情報や航行状況を確認でき、有料プランに切り替えることで詳細な履歴や高度な分析機能を利用できます。
公式サイトとの大きな違いは、外洋でのカバー範囲です。沿岸局の電波が届かない海域でも、船が発信しているAIS信号を衛星AISが直接受信するため、通信の空白を埋めながら追跡できます。
さらに、過去の航跡や寄港履歴の確認、ジオフェンスによる通知、自社システムとの連携にも対応しています。複数の船会社を横断的に管理できる点は大きな利点ですが、AISデータは受信状況に左右されるため、重要な案件では公式情報やフォワーダー確認と併用することが望ましいでしょう。
船舶の位置情報がリアルタイムで確認できる仕組み
船舶の位置情報は、主にAIS(自動船舶識別装置)とGPSトラッカーの2つの仕組みによって取得されています。
AISは国際条約に基づき一定以上の商業船に搭載が義務付けられている公的システムで、船舶が自動的に自船の位置や速度、進路などを無線で周囲に発信します。このデータの基礎となる位置情報はGPS衛星によって測定され、それをAISが沿岸局や衛星に向けて発信することで、他の船や管理者が共有できる仕組みです。国際的に標準化された通信手段であるため、港湾管理者や海事当局、さらには民間のサービスまで幅広く利用できる点が特徴です。
一方で、GPSトラッカーは、AISのように全船舶に義務付けられているものではなく、貨物や特定の船に個別に設置して用いられる端末です。端末自体がGPS衛星から測位を行い、通信回線を通じて位置情報を管理者に送信します。AIS非搭載の小型船やコンテナ単位での管理に強みがあり、企業が独自にサプライチェーンを可視化する手段として導入されるケースが増えています。つまり、AISが「公的かつ共有的なシステム」であるのに対し、GPSトラッカーは「個別かつ専用的な仕組み」として補完的に機能しているのです。
GPSトラッカーの導入前に確認すべきポイント
GPSトラッカーを導入する際には、位置測位の精度や通信方式に加えて、海上環境に耐えられる設計かを確認することが欠かせません。特に防水・耐塩性・耐衝撃性は必須条件であり、長期間にわたって波や湿気、衝撃に晒される過酷な環境でも安定して稼働する耐久性が求められます。
通信方式については、LTEだけでなく2G(GSM)に対応しているかどうかも重要です。2Gは今も世界中で広く利用されており、電波到達距離が長く消費電力が少ないことから、海上や郊外でのバックアップ通信として役立ちます。最新の端末は「LTE+GSM」のように複数方式に対応しており、状況に応じて切り替えることで通信の安定性を高めることができます。
また、海上では電源確保が不安定になるため、ソーラー充電や大容量バッテリーなど複数の電源手段を備えていることも安心材料です。長期的かつ安定した追跡体制を構築し、輸送中のリスクに対処できるようにしておきましょう。
GPSトラッカー「TTS-03A」なら海上でも安定して船舶追跡が可能
ここまで見てきたように、船舶の動静をリアルタイムで把握することは、納期管理やリスク対応、サプライチェーン全体の最適化に直結します。公式サイトやAISサービスは有効な手段ですが、安定的に追跡を続けるには専用デバイスの導入が重要です。
「TTS-03A」は、ソーラーパネル・磁気充電器の両方を搭載したGPSトラッカーです。太陽光発電、かつLTEとGSMでの通信が可能で、さまざまな環境で長期間の接続が可能。IP65相当の防水・防塵性能を備えており、海上輸送や屋外環境でも安心して利用できます。
また「コンテナ向け GPSトラッカー」は、海外では15,000台以上で導入されており、2026年に日本でもリリースされます。最大60日間、スタンバイが可能。コンテナの位置を正確にリアルタイムで把握が可能です。
TTSの製品なら過酷な海上環境でも安定した追跡を実現し、船舶や貨物の動きを可視化することでサプライチェーン全体の信頼性向上に貢献できるでしょう。同社ではコンテナ専用デバイスの開発も進めており、将来的には衛星通信を活用することで、船上でもインターネット経由でリアルタイムに位置情報を送信できる仕組みの実用化を目指しています。
車両管理の基礎知識に関する記事
-
2025.12.03
車両管理の基礎知識
コンテナの追跡とは?海上輸送中のコンテナの位置を把握する方法を解説
輸入や輸出を日常的に行う貿易事業者や製造業・商社などでは、海上輸送中のコンテナの位置を把握したいというケースも多いでしょう。海上輸送中のコンテナは追跡(トラッキング)が可能です。コンテナの位置を正確に把握することは、顧客対応の質向上や業務の効率化において非常に重要です。 本記事では、コンテナの追跡方法とコンテナを追跡することの効果について解説します。
-
2025.10.29
車両管理の基礎知識
本船動静をリアルタイムで追跡する方法は?船舶輸送を可視化するメリットを解説
国際物流に携わる企業にとって、貨物船の位置や到着予定を正確に把握することは大きな課題です。 出荷から納品までの流れを円滑に進めるためには、サプライチェーン全体の可視化と効率的なリスク管理が欠かせません。近年はデジタル技術の発展により、船舶の動静をリアルタイムで追跡する手段が拡大しています。 本記事では、リアルタイム追跡が求められる背景や確認方法、GPSトラッカーを導入する際のポイントまで詳しく解説します。
コスト削減・業務効率化に関する記事
-
2025.12.03
コスト削減・業務効率化
配送ルート最適化で何が変わる?データ活用で進む物流DXの効果
物流現場では、ドライバー不足や燃料費の高騰、短納期化など多くの課題が重なり、従来の経験や勘に頼ったルート設計では限界が見え始めています。配送効率を高めながらコストや労務負担を抑えるためには、データに基づく配送ルート最適化の考え方が欠かせません。 本記事では、荷主企業の物流担当者や生産管理担当者、商社の調達担当者などに向けて、配送ルート最適化の仕組みや背景、導入による効果、具体的な実践方法をお伝えします。AIやクラウドを活用した仕組みを理解することで、業務の再現性と生産性を高められます。
-
2025.10.29
コスト削減・業務効率化
運転日報の保存期間とは?法的基準から効率的な管理法、システム導入まで徹底解説
運送業や旅客業、または一定以上の営業車を保有している企業などは、運転日報の作成が法律で義務付けられています。さらに、作成するだけでなく、一定期間保存する必要があります。運転日報の作成や保存を怠ると、最悪の場合罰則につながるため法的な要件について正しく理解することが重要です。 この記事では、運転日報の保存期間や運用のポイントについて解説します。運転日報の業務への活かし方や電子化によるメリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
-
2025.10.29
コスト削減・業務効率化
安全運転管理者は本当に必要ない?制度概要や効果的な活用法まで徹底解説
自動車を使用する企業において、安全運転管理者の選任は必要ないのではないかと考える担当者も多いのではないでしょうか。安全運転管理者の選任は、事故を防止して従業員の安全を守るために、道路交通法施行規則にて規定されています。安全運転管理者を設置する企業は、従業員の安全を守り、企業としての社会的責任を果たすために、適切に管理者を選任することが欠かせません。 本記事では、一定台数以上の自動車を使用する企業の担当者に向けて、効果的に安全運転管理者を選任するために、選任の必要性や基準、注意点などを詳しく解説します。
防犯・紛失対策に関する記事
-
2025.12.03
防犯・紛失対策
建設現場での重機盗難を防ぐ!物理ロック・カメラ・GPS追跡まで徹底解説
建設・土木の現場では、重機が盗まれれば即座に損失と工期遅延につながります。特に油圧ショベルなどの中小型重機は、短時間でも搬出されやすく、夜間や無人時間帯はリスクが高まります。 本記事では、重機を所有・運用する土木・建設会社や重機レンタル会社の担当者・経営者に向け、現場で本当に役立つ盗難対策の全体像を整理します。盗難防止では、「物理的な防犯」「監視」「検知・追跡」の3段構えが重要であり、各対策を組み合わせて多層的に備えることが被害を防ぐ鍵となります。
-
2025.10.29
防犯・紛失対策
【トレーラー盗難防止の最新対策まとめ】物理ロック×GPS追跡まで徹底解説
結論として、トレーラー盗難の実務対策は複合的に進めることが重要です。「物理ロックの多層化」「保管環境の整備」「ICTによる検知・追跡」を同時に実装することで、防犯性は段違いに高まります。 盗難が発生すると稼働が止まり、配車計画の乱れが工期や納期へ波及しかねません。代替トレーラーの手配や再配車で費用や膨らみ、事務負担も増えるリスクがあります。 本記事では、トレーラー盗難の被害の傾向と、多発しやすい環境を確認しましょう。併せて、効果的な物理的なロックとICT・IoTを活用した盗難対策についても解説します。