お役立ちコラム
車両管理表・台帳とは?作成時のポイントや記入項目、無料テンプレートを紹介
社用車による事故リスクを軽減し、社員と車両の安全性向上を図るために、車両管理表の作成が欠かせません。しかし、企業の中には、記載項目や運用方法、注意点が分からないという担当者も多いのではないでしょうか。 本記事では、円滑に車両管理を行いたいという企業の担当者に向けて、車両管理表の概要や記載すべき項目、注意点などを詳しく解説します。
- 目次
-
- 1. 車両管理表・台帳とは?基礎知識をチェック
- 1-1. 社用車の情報を管理するための書類のこと
- 1-2. 車両管理表を作成する目的
- 1-2-1. 事故発生のリスク管理
- 1-2-2. 社用車にかかる費用の管理
- 2. 車両管理表に記載すべき項目
- 2-1. 車両に関する情報
- 2-2. 車両の状況に関する情報
- 2-3. 車両の保険に関する情報
- 3. 車両管理表の作成・運用方法
- 3-1. エクセル・スプレッドシートで作成する
- 3-1-1. 【エクセル】社用車の管理に活用できる無料テンプレート・ひな形
- 3-2. 紙面で作成する
- 3-3. 管理システムやアプリを導入して作成する
- 4. 車両管理表を作成する際の注意点
- 4-1. 社内ルールを策定して記載や保管方法を明確にする
- 4-2. 車検や法定点検などのデータを都度更新できるようにする
- 4-3. チェックシートを用意して記載内容のダブルチェックを行う
- 4-4. 適切に車両管理表を作成するには社員への安全運転教育が不可欠
- 5. まとめ
車両管理表・台帳とは?基礎知識をチェック
社用車を使用する企業には、社員や車両の安全を守る義務を果たすために、適切に車両管理表を作成することが必要です。
ここでは、車両管理表の定義と目的を詳しく解説します。
社用車の情報を管理するための書類のこと
車両管理表とは、車両の状況や運行状況、保険の加入状況などを管理するための書類のことです。車両管理を徹底して行うことで、車両の不備や車検切れのリスクを防ぎ、社員や車両の安全につなげることができます。社内の安全管理に資することから、多くの企業では車両管理規程に車両管理表の作成を定めています。
車両管理表の作成は法律で義務化されていません。ただし、民法715条において、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うとする使用者責任について定められています。車両管理表の作成を怠ると、「相当の注意」を果たしたと判断されない可能性があり、企業としては車両管理表を作成すべきと考えられています。
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
出典:民法第715条
車両管理表を作成する目的
ここでは、車両管理表を作成する目的として、以下の2点について解説します。
・事故発生のリスク管理
・社用車にかかる費用の管理
社用車を使用する企業は、ここで紹介する目的を意識して効果的に車両管理を行うことが大切です。
事故発生のリスク管理
一つ目の目的として、事故発生のリスク管理が挙げられます。社用車を長く安心して使用するためには、車両ごとの状況をこまめに把握することが必要です。車両管理表の作成により、社員や車両の安全性を高めると共に、事故発生時も、迅速かつ適切に対応することができます。
また、車検のタイミングや保険加入状況、期間などを随時確認できるようにすることで、手続き漏れを防止できます。社用車による事故が発生すると、企業は社会的信用を損なうリスクが生じます。そうしたリスクを軽減するためにも、車両管理表を正しく作成することが重要です。
社用車にかかる費用の管理
車両管理表の作成により、社用車にかかる費用を可視化することができ、不要なコストの削減につながります。
<社用車運用にかかる代表的な費用>
・燃料代
・メンテナンス費用
・駐車場代
・保険料
・税金
稼働状況やコストに関するデータを一定期間保管しておくことで、効率的な社用車運用に役立てることができます。
TTS株式会社が提供する車両動態管理を導入すれば、車両と運転手の紐づけ管理や稼働データをもとにしたレポート自動出力で、業務効率化を実現することが可能です。
車両管理表に記載すべき項目
車両管理表には決まった書式はないものの、適切な車両管理を行うために、記載が必要な項目を押さえておくことが重要です。
ここでは、以下の区分に分けて、記載すべき項目について解説します。
・車両に関する情報
・車両の状況に関する情報
・車両の保険に関する情報
車両に関する情報
特に複数車両を使用する企業の場合、車両を特定するための項目を記載しておかないと、車検やリース更新の際に車両の特定に手間がかかります。
<車両を特定するための項目>
・登録番号(車両番号)
・メーカー名・車名
・型式・車体の色
・定員数
・車台番号(車検証に記載されている)
・用途・使用目的
・登録年度
・保管場所
・購入年月日
・購入先
・新車・中古車区分
・リース会社・担当者
必要な時に迅速かつ適切に車両を特定できるように、車検証などを確認の上、情報を整理しておくことが重要です。
車両の状況に関する情報
車両の状況に関する情報の記載も必要です。
車両状況は、以下の3つの項目に大別できます。
・車検・整備状況
・修理・事故状況
・使用・管理
それぞれ、以下の項目があります。
<車検・整備状況に関する項目>
・車検有効期限(車検満了日)
・定期点検記録(定期点検整備の実施内容)
・整備工場名・所在地・連絡先
・整備状況
<修理・事故状況に関する項目>
・修理歴・修理箇所・原因
・事故発生状況(事故が起きた日時・場所・天気)
・事故を起こした社員名・事故状況・発生原因
・事故処理の状況・結果
<使用・管理に関する項目>
・使用部署
・運転者
・変更履歴
記載内容が多岐にわたるため、車両管理表を作成する際は、項目ごとに整理することをおすすめします。
車両の保険に関する情報
保険に関する情報については、自賠責保険と任意保険に項目を分けて整理します。
<保険に関する項目>
・自賠責保険(保険期間・保険会社・証券番号・保険金額)
・任意保険(保険期間・保険会社・証券番号・保険代理店・保険内容・保険金額)
自賠責保険とは、強制保険として車両を使用する際に契約が義務付けられているものです。交通事故などで他人を死亡、ケガさせたりした人身事故が起きた際、相手の身体に対して保険金が支払われます。他方、任意保険は、自賠責保険では補償されない部分をカバーするものです。
車両管理表の作成・運用方法
車両管理表を作成するためには、エクセル・スプレッドシートや紙面、アプリを活用するなどの方法があります。作成方法によって特徴が異なり、企業によって向き不向きがあります。円滑に運用するために、それぞれの特徴を理解した上で、自社の状況や目的に合う方法を採用することが重要です。
エクセル・スプレッドシートで作成する
一つ目が、エクセルやスプレッドシートの表計算ソフトを活用する方法です。セルの計算機能や色分け機能を活用することで、費用をかけずにデータの視覚化や管理を進めることが可能です。
エクセルやスプレッドシートを活用する方法には、メリットがある一方で、注意点もあります。
<メリット>
・リアルタイムで更新・共有できる(スプレッドシート)
・コストがかからない
・簡単な集計や分析を行うことができる
<注意点>
・情報の更新・共有に時間がかかる(エクセル)
・ネット環境によって使用が制限される可能性がある(スプレッドシート)
・複雑な集計や分析には一定のスキルが必要
あらかじめ表のデザインや形式が決まっている場合は、エクセルの無料テンプレートを活用して作成することができます。
【エクセル】社用車の管理に活用できる無料テンプレート・ひな形
ここでは、無料ダウンロードできるエクセルのテンプレートを紹介します。
車両管理表の書式や運用方法について、決まりはありません。テンプレートをそのまま使用するのではなく、企業の状況に適した内容に変更することもできます。
紙面で作成する
独自に点検項目表を作成するなどして、紙面を活用する方法もあります。印刷してバインダーなどに保管し、情報を更新する際は手書きで記入していきます。
紙面を活用する方法は、パソコン操作などに関する一定のスキルがない場合でも作成できるといった点が特徴です。一方で、情報が増えていくにつれて書類が膨大になり、管理が煩雑になりやすく、紛失のリスクが高まるリスクがあります。
近年、職場内のデジタル化が進められている中で、紙面による車両管理表の作成は推奨されにくい傾向があります。ダブルチェックとして、紙面の車両管理表を活用するのであれば、効果的といえるでしょう。
管理システムやアプリを導入して作成する
管理システムやアプリを導入して、クラウド上で情報を一元管理する方法もあります。全ての社員が同じフォーマットを使用して、情報をリアルタイムに更新・共有・周知することが可能です。例えば、点検が必要な車両については通知機能をつけられるシステムを導入することで、手続き漏れの心配もなくなります。
一方で注意点もあります。費用や社員への指導にかけられるリソースなどを考慮して、管理システムやアプリの導入について検討することが重要です。
<注意点>
・初期費用や維持費用が発生する
・導入時に使用方法について社員に指導する必要がある
TTS株式会社では、車両の現在位置や移動履歴、稼働状況をリアルタイムに把握できる車両動態管理システムを提供しています。
具体的には、以下のラインナップがあります。
- 通信型ドライブレコーダー(AI解析対応モデル):リアルタイム映像と位置情報の統合管理が可能なタイプ
- OBD型/シガーソケット型デバイス(工事不要モデル):車両の電源ポートに差すだけで設置完了(配線・工事不要)
紙やエクセルでの管理が煩雑になり、車両管理の効率化に課題を抱えている企業は、TTSソリューションの導入がおすすめです。業務日報や安全運転の記録をまとめて管理することが可能となり、事故などのリスクから社員の安全を守ります。
車両管理表を作成する際の注意点
車両管理表を作成するためには、いくつか注意点を押さえておく必要があります。自社の状況に合わせて運用ルールを策定したり、チェック体制を整備したりすることで、効果的な車両管理につなげることが可能です。
ここでは、車両管理表を作成する際の注意点について解説します。
社内ルールを策定して記載や保管方法を明確にする
車両管理表の記載方法や保管方法に関する社内ルールを策定することが重要です。特に社用車の管理台数が多いと、車両管理表の作成に手間取り、人為的なミスにつながる可能性があります。
また、車両に関するトラブルの発生時に、迅速かつ適切に対応するために、車検証や自賠責保険証書、任意保険証書などの車両に関する書類もまとめて保管することをおすすめします。あらかじめ保管場所を決めて、見やすさを考慮して整理しておきましょう。更新時期の早い順番にまとめるなどの工夫を施すことで、適切なタイミングで必要な書類を見つけやすくなります。データで管理する場合は、書類をスキャニングしてアプリやクラウドなどで管理します。
車検や法定点検などのデータを都度更新できるようにする
車両管理表を適切に運用していくために、車検や法定点検などの情報を都度更新していけるように情報を一元化することが望ましいといえます。この点、紙面ではなく、デジタル管理が可能な管理システムやアプリを活用すれば、効果的に管理することが可能です。
ただし、前述の通り、紙面で作成する方法にもメリットはあります。最初は紙の形式から始め、徐々に他の方法へと移行していく選択もあります。
車両管理の効率向上により、次の点検時期の把握や手続き漏れの防止、ひいては、長期的なコスト削減にもつながります。
チェックシートを用意して記載内容のダブルチェックを行う
車両管理表への記入漏れやミスを防ぐために、チェックシートを用意してダブルチェック体制を整えることが重要です。運転手が1人の場合は、手書きとアプリでの確認を併用させることが効果的です。可能であれば、専用のタブレット端末やタッチペンを導入し、負担軽減を図りましょう。
適切に車両管理表を作成するには社員への安全運転教育が不可欠
車両管理表の作成を徹底するだけでは、社員や車両に対する安全管理は十分とはいえません。事故発生のリスクを抑えるためには、企業の管理者は定期的に社員に向けた安全運転教育を実施し、安全運転意識を高めることが必要です。
社員に対して安全運転教育を実施することには、以下のメリットがあります。
<安全運転教育を実施するメリット>
・社員の命と健康を守る
・企業への信頼を維持する
・経済的損失のリスクを最小化する
安全運転教育の実施方法として、主に以下が挙げられます。
<安全運転教育の実施方法>
・e-ラーニング
・教本やDVDを活用した基礎学習
・運転シミュレーターを活用した実践的な学習
・実車による運転教育
TTS株式会社が提供する通信型ドライブレコーダーでの走行中の映像とGPS機能による安全管理を活用することで、企業の安全運転教育に役立たせることができます。
通信型ドライブレコーダーには以下の機能が備わっています。
・ADAS機能:前方衝突・急接近・車線逸脱などをAI検知し警告
・DMS機能:わき見、居眠り、スマホ操作などのドライバー異常を検出
社内の安全運転意識向上につなげたいという場合は、TTSソリューションの導入がおすすめです。
よくある質問
- 車両管理表の保存期間は? +
- 車両管理表は誰が管理する? +
まとめ
本記事では、企業の担当者が迅速かつ適切に車両管理表を作成するために、目的や記載項目、注意点などについて詳しく解説しました。車両管理表の作成は、法律で義務化されていませんが、社員と車両の安全性を高めるために、作成すべきといえます。
事故発生のリスクを軽減するだけでなく、毎月の走行距離を正しく把握することにもつながり、コストを視覚化できるという効果もあります。そして、事故発生時の迅速な対応と安全運転の管理といった視点から、一定の記載項目を押さえておくことが大切です。
書式に決まりはなく、代表的な作成方法には、エクセルのテンプレートをダウンロードする方法や紙面、管理システム・アプリの導入といった選択肢があります。それぞれ特徴を押さえた上で、自社の状況やコストなどを考慮して、運用していくことが大切です。本記事を参考にして、正しく車両管理表を作成して、社員や車両に対する安全性を高めていきましょう。
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