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2025年10月29日

本船動静をリアルタイムで追跡する方法は?船舶輸送を可視化するメリットを解説

本船動静をリアルタイムで追跡する方法は?船舶輸送を可視化するメリットを解説

国際物流に携わる企業にとって、貨物船の位置や到着予定を正確に把握することは大きな課題です。 出荷から納品までの流れを円滑に進めるためには、サプライチェーン全体の可視化と効率的なリスク管理が欠かせません。近年はデジタル技術の発展により、船舶の動静をリアルタイムで追跡する手段が拡大しています。 本記事では、リアルタイム追跡が求められる背景や確認方法、GPSトラッカーを導入する際のポイントまで詳しく解説します。

貨物船のリアルタイム追跡が重要な理由

グローバル物流では、輸送中の貨物の動きを正確に把握することが顧客対応やリスク管理に直結します。船舶の位置や到着予定を確認することで、通関や配送の計画を立てやすくなり、突発的な遅延にも柔軟に対応できます。

  • 船舶の到着予定を把握することで物流管理の効率が高まる
  • 予期せぬトラブルにも迅速に対応でき、リスクを最小化できる
  • サプライチェーン全体を最適化し、競争力を強化できる

これらのポイントを押さえることで、企業は安定した物流体制を築くだけでなく、顧客満足度や取引先との信頼関係を高めることができます。次に、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

正確な到着予定を把握することで効率的に物流管理ができる

貨物船の現在位置や到着予定を事前に把握しておけば、港での通関準備や倉庫での荷受け体制を効率的に整えられます。配送業者への依頼や輸送スケジュールも調整しやすくなり、無駄な待機時間やコストを削減することが可能です。

位置情報を把握できれば、顧客からの問い合わせにも即答でき、納期管理の精度が高まるため取引先からの信頼獲得にもつながります。仮に遅延が発生しても早急に情報を得られることで、スケジュールを組み直し、影響を最小限に抑える対応が可能になります。

迅速なトラブル対応・適切なリスクマネジメントに繋がる

港湾の混雑や台風などの天候不順、さらには海上事故による遅延は、輸送スケジュールに大きな影響を及ぼします。リアルタイムで船舶の動静を確認できれば、異常を早期に察知し、代替手段の確保や取引先への連絡など迅速な対応が可能になります。複数の航路や便を比較して最適な選択を行えば、リスクを事前に分散することも可能でしょう。

また、異常航行を早期に把握することで、貨物や顧客への被害拡大を未然に防止でき、安定した取引基盤の構築につながります。

サプライチェーンの最適化で競争力を高められる

船舶の運行情報を活用すると、到着予定に基づいた在庫調整や発注計画の改善が可能となります。輸送の透明性が高まることで、社内の物流部門と営業部門、フォワーダー、顧客とステークホルダーとの連携も円滑になります。

結果として、全体的な納期短縮やコスト削減を実現でき、取引全体の効率化を推進できます。情報をタイムリーに共有できる体制を整えることで、取引先との関係性も強化され、結果的に競争力のあるサプライチェーンの構築につながるのです。

船舶の位置データをリアルタイムで取得する方法

船舶の動きを確認する際には、コンテナ番号や船名、B/L番号などが有効な手掛かりとなります。ここからは、船舶の位置データを取得する方法を具体的にみていきましょう。

ただし、GPSで測定した位置情報を送信するには通信環境が必要であり、海上ではデータが即時反映されない場合があります。港に到着して通信が回復した時点で、情報がまとめて更新されるケースがある点には注意が必要です。

船舶会社の公式サイトで確認する

主要な船会社である「Maersk」「ONE」「MSC」などの公式サイトでは、ブッキング番号やB/L番号、コンテナ番号を入力して現在のスケジュールや運航状況を確認できます。公式情報のため信頼性は高い一方、更新には一定のタイムラグが生じる場合があります。

納期が重要な案件では、最新のETA(到着予定時刻)・ETD(出発予定時刻)を確実に把握するためにフォワーダーへの直接確認や専門サービスを併用すると安心です。各社は公開の追跡ページを提供しており、ログイン不要で利用できます。

船会社サービス名特徴
Maersk Track shipments ・高い正確性 ・ETA/ETD確認可能
ONE(Ocean Network Express) Cargo Tracking ・更新頻度は高いがラグもあり得る
MSC(Mediterranean Shipping Company) Track a Shipment ・世界的に広く利用される公式情報源

船舶位置情報を取得できるWebサイト・サービスを活用する

MarineTraffic」や「VesselFinder」「ShipTracking」といった専門サービスでは、世界中の商業船舶の現在地を地図上に表示できます。検索には船名やIMO番号、MMSIなど複数の識別情報が利用でき、確実な特定には固有のIMO番号が有効です。無料版でも基本的な位置情報や航行状況を確認でき、有料プランに切り替えることで詳細な履歴や高度な分析機能を利用できます。

公式サイトとの大きな違いは、外洋でのカバー範囲です。沿岸局の電波が届かない海域でも、船が発信しているAIS信号を衛星AISが直接受信するため、通信の空白を埋めながら追跡できます。

さらに、過去の航跡や寄港履歴の確認、ジオフェンスによる通知、自社システムとの連携にも対応しています。複数の船会社を横断的に管理できる点は大きな利点ですが、AISデータは受信状況に左右されるため、重要な案件では公式情報やフォワーダー確認と併用することが望ましいでしょう。

 

船舶の位置情報がリアルタイムで確認できる仕組み

船舶の位置情報は、主にAIS(自動船舶識別装置)とGPSトラッカーの2つの仕組みによって取得されています。

AISは国際条約に基づき一定以上の商業船に搭載が義務付けられている公的システムで、船舶が自動的に自船の位置や速度、進路などを無線で周囲に発信します。このデータの基礎となる位置情報はGPS衛星によって測定され、それをAISが沿岸局や衛星に向けて発信することで、他の船や管理者が共有できる仕組みです。国際的に標準化された通信手段であるため、港湾管理者や海事当局、さらには民間のサービスまで幅広く利用できる点が特徴です。

一方で、GPSトラッカーは、AISのように全船舶に義務付けられているものではなく、貨物や特定の船に個別に設置して用いられる端末です。端末自体がGPS衛星から測位を行い、通信回線を通じて位置情報を管理者に送信します。AIS非搭載の小型船やコンテナ単位での管理に強みがあり、企業が独自にサプライチェーンを可視化する手段として導入されるケースが増えています。つまり、AISが「公的かつ共有的なシステム」であるのに対し、GPSトラッカーは「個別かつ専用的な仕組み」として補完的に機能しているのです。

GPSトラッカーの導入前に確認すべきポイント

GPSトラッカーを導入する際には、位置測位の精度や通信方式に加えて、海上環境に耐えられる設計かを確認することが欠かせません。特に防水・耐塩性・耐衝撃性は必須条件であり、長期間にわたって波や湿気、衝撃に晒される過酷な環境でも安定して稼働する耐久性が求められます。

通信方式については、LTEだけでなく2G(GSM)に対応しているかどうかも重要です。2Gは今も世界中で広く利用されており、電波到達距離が長く消費電力が少ないことから、海上や郊外でのバックアップ通信として役立ちます。最新の端末は「LTE+GSM」のように複数方式に対応しており、状況に応じて切り替えることで通信の安定性を高めることができます。

また、海上では電源確保が不安定になるため、ソーラー充電や大容量バッテリーなど複数の電源手段を備えていることも安心材料です。長期的かつ安定した追跡体制を構築し、輸送中のリスクに対処できるようにしておきましょう。

GPSトラッカー「TTS-03A」なら海上でも安定して船舶追跡が可能

ここまで見てきたように、船舶の動静をリアルタイムで把握することは、納期管理やリスク対応、サプライチェーン全体の最適化に直結します。公式サイトやAISサービスは有効な手段ですが、安定的に追跡を続けるには専用デバイスの導入が重要です。

「TTS-03A」は、ソーラーパネル・磁気充電器の両方を搭載したGPSトラッカーです。太陽光発電、かつLTEとGSMでの通信が可能で、さまざまな環境で長期間の接続が可能。IP65相当の防水・防塵性能を備えており、海上輸送や屋外環境でも安心して利用できます。

また「コンテナ向け GPSトラッカー」は、海外では15,000台以上で導入されており、2026年に日本でもリリースされます。最大60日間、スタンバイが可能。コンテナの位置を正確にリアルタイムで把握が可能です。

TTSの製品なら過酷な海上環境でも安定した追跡を実現し、船舶や貨物の動きを可視化することでサプライチェーン全体の信頼性向上に貢献できるでしょう。同社ではコンテナ専用デバイスの開発も進めており、将来的には衛星通信を活用することで、船上でもインターネット経由でリアルタイムに位置情報を送信できる仕組みの実用化を目指しています。

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